【調査発表】遺児らの2割が進学断念を検討 実質所得は5年間で20万減
一般財団法人あしなが育英会は9月17日に記者会見を開き、「あしなが高校奨学金」の2026年度採用者が、過去最多の2196人となったことを発表しました。
あわせて、少子化の中でも奨学金を必要とする高校生が増えている背景を探るため、8月に実施した高校奨学生保護者調査の結果と、新たに始める「中学校進学支援金」の創設について発表しました。
採用過去最多 少子化なのになぜ?
最新調査で物価高の影響浮き彫りに
高校生人口が減少する中で奨学金を必要とする子どもたちが増えている背景を探るため、2026年8月に、全高校奨学生の保護者を対象に調査を実施しました(回答2735件、回答率59.6%)。
調査の結果、就労中の保護者の平均所得は178.1万円で、2021年の調査時の176.4万円からほぼ横ばいでした。しかし、この間の物価上昇を加味すると、実質的な所得水準は5年間で約20万円低下しています。
保護者の所得が伸びない一方で物価高が進み、家計が一層厳しくなっていることが、奨学金ニーズの高まりの背景にあると考えられます。

さらに、21.5%が物価高の影響で進学を断念、または断念を検討しているほか、家賃の滞納率が昨年より5.2ポイント上昇するなど、物価高が奨学生世帯の暮らしや子どもたちの進路に深刻な影響を及ぼしている実態が浮き彫りになりました。

自由記述欄には、
- 物価が高く日々暮らしていくのが大変です。生活保護の支給額だけでは子供に十分な食事や学校生活での必要なものなどを満足に与えてあげられません。親は1日1食で子供に食べさせてあげる事も十分とは言えない状態です。(茨城県・母親)
- 物価高騰で日々の生活が困窮しています。 ダブルワークをしていましたが半月板を損傷してしまい 自宅療養を余儀なくされています。 早く復活したいのですが…なかなか体調も優れずな毎日を送っていて不安で仕方ありません。(大阪府・母親)
- 物価が高過ぎて生きていくのにどうしても必要な食料品、消耗品を購入する事が困難になっています。成長期である子供に肉類や乳製品を買ってあげたいと思っていても高すぎて購入できません。野菜も高すぎて週に何度も、もやし料理ばかりです。このままでは、本当に生きていけないと落ち込む毎日です。(沖縄県・母親)
など、物価高に苦しむ声が数多くみられました。
会見で、本会会長の村田治は、調査結果を受けた今後の支援のあり方について、次のように話しました。
今回の調査では、物価高によって食費など日々の生活が圧迫されるだけでなく、子どもたちの将来の進路選択にまで大きな影響が及んでいることが明らかになりました。特に、進学先を変更したり、進学そのものを断念したりする家庭が少なくないという結果には、非常に大きなショックを受けました。また、学力や学習意欲の問題で高等教育への進学を諦めてしまう子どもたちもいます。
高校生への奨学金に加え、学習意欲や進学への意識が育まれる小中学生の段階から、さまざまな体験も含めて教育全体を支援していくことが重要だと考えています。
中学生に支援を拡大
新制度「中学校進学支援金」
今回を含むこれまでの調査で明らかになった現状をふまえ、新たな支援制度として「中学校進学支援金」を創設することを発表しました。2027年4月に中学校へ進学する、遺児と親に障がいがある子ども400人に、1人あたり5万円を給付します。
制服代など大きな費用負担が生じる中学校進学時に経済的な支援を行うとともに、支援金をきっかけに家庭との接点をつくり、その後もさまざまな支援情報や体験機会を継続的に提供します。経済的困難を抱える子どもたちが将来に希望を持ち、意欲的に進路を選択できるよう応援していきます。
本制度を担当する、教育事業部 初等中等教育支援課の山田優花課長は、これまでの支援を通じて見えてきた子どもたちの姿と、制度に込めた思いを語りました。
これまで、心のケアや小中学生への学習支援の現場で、家計が大変な中、親に進学したいと言い出せなかったり、家庭の状況を察して自ら進路を変えてしまったりする子どもたちを見てきました。
一方で、本会の支援を通じてさまざまな制度や機会を知り、学習習慣を身につけ、進学への希望を持つようになった子どもたちもいます。こうした多角的な支援があれば、遺児家庭や障がい家庭の子どもたちも高等教育へつながっていくことができると、これまでの経験から確信しています。
中学生という早い段階で家庭とつながり、必要な情報を確実に届けることで、子どもたちが家庭の状況に制限されず、自分の希望する進路に進むこと。それが、この新設する支援金の一番の願いです。
申請はウェブサイトで受付
本制度の申請期間は2026年10月1日(木)から11月13日(金)正午までで、本会ウェブサイトで受け付けます。
詳細は、下記の記事をご覧ください。
奨学金と新制度を学生募金が応援
後輩たちの「学びたい」を守る
会見には、本会大学奨学生を中心に組織される「あしなが学生募金事務局」の若林歩実・首都圏エリアマネージャーも登壇しました。
若林さんは、同事務局が10月に全国で実施する「第112回あしなが学生募金」において、奨学金に加えて先述の「中学校進学支援金」も募金使途とすることを発表しました。
若林さん自身も奨学金に支えられてきた経験をふまえ、後輩世代へ支援をつないでいく決意を示しました。
子どもたちが早いうちからあしなが育英会の存在を知り、進学を意識しながら中学・高校生活を送ることは非常に重要だと考えています。
私自身も、中学3年生の頃に父を膵臓がんで亡くしてから、あしなが育英会の奨学金に支えられて大学生活を送ることができています。事務局の学生の多くも、私と同じように育英会から支援を受けている遺児です。私たちにとって、この奨学金は「希望の奨学金」です。
この「希望の奨学金」を次の世代の後輩遺児にも届けたい。事務局の学生たちは、みんなその思いで街頭に立っています。
第112回あしなが学生募金について
- 主催:あしなが学生募金事務局
- 協力:一般財団法人あしなが育英会
- 募金使途:全額を日本国内の病気・災害・自死遺児と親に障がいがある子どもの奨学金として、あしなが育英会に寄付
※「奨学金」には、中学校進学支援金も含まれます - 実施日程:2026年10月17日(土)、18日(日)、24日(土)、25日(日)
※実施場所により、一部日程のみ開催 - 実施場所:あしなが学生募金ウェブサイトに掲載
報道機関のみなさまへ
本件についてのプレスリリースは、下記よりご覧ください。
報道機関の方からのお問い合わせ先
一般財団法人あしなが育英会 広報部(担当:島田)
電話:03-3221-0888(平日9時から17時)
メール:press★ashinaga.org(★を@に変えてお送りください)













